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〜UC〜 それが見えたら始まり 21歳潰瘍性大腸炎患者の体験記

この記事には、トイレや便に関する事がたくさん出てきます。食事中の方、不快に感じる方はここで引き返してください。

みなさんこんにちは。

潰瘍性大腸炎、現役絶賛発症中の21歳です。
今回は上にも書いた通り、最近安倍晋三前首相が発症したこの病気について体験談を交えてブログを書いていきます。

まず初めにこのブログには、ドクターAとドクターBが登場しますので、最初に説明しておきます。
ドクターA・・・すごく大きな病院のお医者さんで、僕の潰瘍性大腸炎を発見してくれた人です。治療には主に、免疫抑制剤(副作用が多い薬)を使用していました。
ドクターB・・・潰瘍性大腸炎は免疫抑制剤を使わなくても治ると豪語する、パワフルなお医者さん。免疫抑制剤が怖くなってからは、主にこの先生の治療方針にそって治療を行っています。(2020年12月現在も)

第一章 〜潰瘍性大腸炎との出会い〜

高校生2年の春くらい

世間では潰瘍性大腸炎と呼ばれる”ヤツ”との出会いは、高校2年生の春くらいでした。ある日トイレに行って、便器を見たら自分の便に赤い何かが混じっていました。
「うわ、、昨日辛い物でも食べたかな…。」
と思っていたのですが、次の日もその次の日も赤い何かが消える事はありませんでした。
(よく考えてみると、少しでも辛味が入っている食べ物は喉を通らないくらい辛いものが苦手でした。)
元々、腸はあまり強い方ではなくて人と比べるとトイレに行く回数は多かったのですが、血が出続けるのは普通じゃないと思って、iPhone先生で検索してみました。
その結果、iPhone先生の回答はこんな感じでした。
「多分、痔の可能性が高いけど、もしかすると大腸ガンの可能性もあるからとにかく病院へGO!」
これがわかったタイミングで、僕はなぜか大腸ガンにはなっていないという謎の自身に満ちていたので、だとすると残るは痔しかない。
そこから続けてiPhone先生に痔について聞いてみると、病院に行って恥ずかしい格好をさせられて肛門を見られるとか、ひどい時は座れないほど痛いとか、重症になると手術が必要とか、色々な返答が帰ってきました。
それに加えて、テレビでイッテQのイモトやめちゃイケの岡村の体験談を聞いて、底しれぬ痔に対する恐怖心に負けたため、病院へ行く事はしませんでした。

高校生3年の時

それからは、毎日下血が続いて便器が真っ赤になる事ありましたが、痔であれば来るはずの痛み(ネットで調べただけのにわかです)がいつになっても来る事はありませんでした。
ただ、反比例して増えていく血の量とトイレに行く回数。

この時は流石に、痔じゃない事は薄々感じていたのですが、病院に行って内視鏡検査(肛門から小さいといえどカメラを入れられて腸の中を検査する)を受ける事が、痔に代わって恐怖を植え付けてきたのです。
結局、病院には行かずに高校卒業を迎える事になりました。

第二章 〜潰瘍性大腸炎との戦が勃発〜

専門学校1年

高校卒業後は、2年制の専門学校に進学しましたが”ヤツ”(潰瘍性大腸炎)の症状が治まる事はありませんでした。
順調にトイレに行く回数も増えていき、血の量も更に増えていきました。

専門学校2年

専門学校2年になってからも、症状は続いたのですが、この時は”ヤツ”(潰瘍性大腸炎)との戦が始まった時期でした。

病院にかかる

通っていた専門学校では、2年生になると海外への修学旅行が控えていました。正直、行く気満々だったのですが、修学旅行のしおりを見てみるとバスで3時間移動や、1時間を超える行事など、長時間トイレにいけない事がいくつかありました。
泣く泣く断念する事にしたのですが、親に対して修学旅行に行かない事を説明するときに下血の症状などを伝えると病院に連行されてしまうので、他の言い訳で誤魔化す事にしました。
しかし、当たり前に言い訳に限度はあって、本当の理由を話してしまいました。それによって修学旅行に行かない事は納得してもらえたのですが、案の定、下血を心配されて病院に行く事を約束しました。

その数日後、絶対に内視鏡検査をしたくなかった僕は、内視鏡検査をしなくても腸の中を見てくれるという小さな病院にかかったのですが、検査をするまでもなく
「うちの病院では扱えません。病気の可能性があるので、大きな病院へかかってください。紹介状を書きますから。」
と言われました。(え!?。検査もしないの?と心の中でツッコミましたね。この時は。)

症状が悪化する

それから大きな病院で検査を受けるには、確か2~3週間くらいの間がありました。(混んでいたみたいです。)
その期間に事件は起きたんです。
ある日、いつもの通りトイレに行くと腹痛&冷や汗を掻いて貧血気味になり下血も止まらないくらいに症状が悪化しました。
これはまずいと思い、緊急で病院に行き内視鏡検査の日にちを早めてもらう事になりました。
あれだけ恐れてきた内視鏡検査をついにやらなければいけない状況になり、心はものすごくブルーになっていました。
今思うと、もしかすると内視鏡検査で大腸ガンみたいな重大な病気が見つかる可能性もあるのに、恐いのは内視鏡検査と言うのは結構図太かったですね。

内視鏡検査

検査前日は病院から指定された物を食べて、当日を迎えました。当日は腸を綺麗にするために1L~2Lくらいの下剤を飲んで内視鏡検査を実施する流れでした。
実際、内視鏡検査が始まってみると検査自体は痛くもないし、苦しくもありませんでした。多少の違和感はあるものの、想像していたような苦痛は全くありませんでした。
ドクターAは内視鏡検査を始めて数分後にこう言いました。
「あー、、これは潰瘍性大腸炎ですね。。」
そう、これが”ヤツ”(潰瘍性大腸炎)の名前を初めて知った瞬間でした。

”ヤツ”は初めて、僕の前に正体を表したんです。それまでは、どんな病気かは全く知らなかったのですが、検査を終えてからドクターAから潰瘍性大腸炎についての説明を受けました。
簡単に言うと
自分の体の中の免疫くんが間違って何にも悪い事をしていない大腸さんを攻撃してしまう。そうする事で腸の表面が荒れて、血が出てくる。それによって下血が起こる。今の時点では具体的な原因もわかっておらず、治療法もない。
と言うような病気でした。この病気は、軽症、中等症、重症の3つに分類されるのですが僕は中等症と診断されました。
こう言った病気の事を聞くと、落ち込むと自分でも思っていたのですが、ショックになって落ち込むとかは一切ありませんでした。
それよりも内視鏡検査が終わった喜びが強かったからです。

潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の 炎症性疾患 です。特徴的な症状としては、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。
こちらより引用

この病気には完治がないため患者は、症状が出ている状態の活動期、症状が出ていない時の状態の寛解期のどちらかに分類されます。
また、患者は日本人口の10万人に100人の割合で、特に若年層での発症が多い病気となっています。

入院生活

病気が判明してからは、すぐに入院が決まりステロイドの服用を始めました。

ステロイドとは?

にわかが説明すると、潰瘍性大腸炎は自身の免疫が自身の大腸を攻撃してしまう病気だから、免疫自体の働きを抑制しようね。
っていう薬です。当たり前に副作用はあって、免疫が弱くなるので、他の風邪などにかかりやすくなります。
他にもステロイドを飲む事によって、骨が脆くなる可能性がある、白内障、緑内障になりやすくなるなどたくさんの副作用があるのですが、
幸い僕は、顔がむくんでくる、食欲がめちゃめちゃ出る、夜寝れなくなる、肌が荒れるくらいの症状しか出ませんでした。
ステロイドには副作用がたくさんあるので、服用するにはお医者さんの許可と判断が必要になります。

ステロイド服用後

ステロイドは怖い薬ではあるものの、びっくりするくらい症状はよくなっていき、入院当初は一日15回以上トイレに行っていたのですが、5日後にはトイレの回数は3回以下に、下血も無くなりました。
その後、無事に退院する事ができ、
「トイレを気にしない生活はこんなにも楽なんだ。」
という事を強く感じました。

第四章 〜潰瘍性大腸炎、再発〜

社会人1年目

社会人になってからは、なぜか調子に乗って一人暮らしを始めました。
でも、内容は悲惨なもので、グミやカロリーメイトを主食にしたり、食べる時間も不規則だったり。
ステロイドで潰瘍性大腸炎の症状が寛解してから、ちょうど1年と数ヶ月経った頃、”ヤツ”(潰瘍性大腸炎)は再び顔を出し始めました。
なんか最近、トイレに行く回数多いな〜と思っていたのですが、下血はしていなかったのであまり気にしてはいませんでした。
でもある日下血が復活して、その瞬間”ヤツ”(潰瘍性大腸炎)の復活の雄叫びを聞いた気がしました。。

それからトイレに行っては、下血&腹痛で汗ダラダラになりながら毎日”ヤツ”(潰瘍性大腸炎)と格闘する日々。
ついに、僕の方が白旗をあげ病院へ直行。入院にはなりませんでしたが、ドクターAのもとで、ステロイドの服用を始める事になりました。

社会人2年目

ステロイドの服用を再開してから、症状は治ってきたもののステロイドの量を減らしていくと、また”ヤツ”(潰瘍性大腸炎)は待ってました!と言わんばかりに復活してきました。

この時に、ドクターAと相談してステロイドはもう効かなくなっているので、次はイムランという薬の服用を検討する事になりました。
(ステロイドで症状を抑えていると、やがてステロイド依存と言ってステロイドを飲んでいないと症状を抑える事ができなくなるので、別の薬で免疫を抑制する必要があり、その候補がイムランでした。)

イムランとは?

やりたい事はステロイドと一緒で、自身の大腸を攻撃している免疫くの働きを抑えるのが目的の薬です。
にわかなので、副作用についてはぜひGoogle先生に聞いていただければと思うのですが、とにかく怖い副作用がたくさんああります。

イムランが怖くなる

イムランの話をされた帰りの車でふと考えました。
「いや、待てよ。ステロイドにイムランて。なんかすごい薬を飲もうとしてるんだな。」
だんだん怖くなってきたタイミングで、ちょうど母親が、ステロイドを使用せずに潰瘍性大腸炎を治療してくれるとドクターBを探し出してきてくれました。

その後、ステロイドやイムランを使用せずに病気を治せるならと思い、ドクターBの診察を受け、ドクターAのもとで免疫抑制剤を服用する事をやめました。
これは決してドクターAが悪かった訳ではなく、ドクターAには非常に親身になって僕の潰瘍性大腸炎の症状と向き合っていただきました。実際に、寛解状態で1年間過ごせたのはドクターAのお陰です。非常に感謝しています。
(いきなり患者の判断で薬の服用をやめる事の危険性もドクターAから十分説明を受けていました。)その上で、服用を勝手にやめて本当にすいませんでしたという気持ちです。

免疫抑制剤を使用せずに治療を始める(現在)

ドクターBの治療法を続けて、半年。一日にトイレにいく回数は大体5~10回くらい。体調が突然悪くなったり、下血も少しはあったりしますが、普通の生活ができるようにはなったと思っています。
もちろん、症状がもう出なくなって健康な人と同じように過ごせる事が目標ですが、それにはもう少し時間がかかる気がしています。

UC(潰瘍性大腸炎)を体験して大変だった事

とにかく便意がいつ来るか分からない

これが一番嫌な事で、専門学校時代も社会人になってからも、症状がひどい時はとにかく常にトイレの場所を把握するようにしていました。
友達と出かけても、何度もトイレの度に待ってもらう事が多いです。病気を知ってくれていて、嫌な顔一つせずに待ってくれてはいるのですが、本当に申し訳ない気持ちでした。

体の調子が悪い

ある日は極端に食欲が無かったり、体がなんとなくだるかったり、ひどい時はいつの間にか体重が大幅に落ちている事もあります。

読んでくれた人に伝えたい事

潰瘍性大腸炎は治療法が見つかっておらず、寛解期(症状が出ていない状態)を維持する事が最善の状態です。要するに、病気自体は治らないけど症状を抑えている状態を維持する事しかできません。
それから潰瘍性大腸炎を発症した人は、大腸ガンを発症する確率も高いと言われています。

昔の僕と同じように、下血の症状があるけど、内視鏡検査が怖くて病院へ行っていない人。
忙しくて、病院に行っていない人。様々な理由があると思いますが、まずは病院に行って欲しいです!

それが潰瘍性大腸炎であろうとも、そうでなくてもその病気を知って、何かしらの対処をする事はできます。
もちろん、潰瘍性大腸炎みたいにステロイドやイムランのような副作用のある薬を飲む事が治療の病気もあるけれど、世界には様々な治療を研究している偉いお医者さんがたくさんいます。
その人たちから言われた事を全て試してみてもいいし、病気に対する向き合い方は人それぞれだと思っています。

今後の潰瘍性大腸炎との向き合い方

僕自信、このブログを通じて持病について長々と書いてきましたが、潰瘍性大腸炎は明日とか明後日にすぐに治ってくれるような病気ではありません。
それでも誰かが、治療薬を開発してくれる事を祈りつつ、食べ物にも気を付けつつ、生活習慣もよくするように意識しつつ毎日を過ごしています。

潰瘍性大腸炎になって唯一よかったと思える事

潰瘍性大腸炎になってから僕は、持病を持っているよりはなんの異常もない健康体が一番な訳で、デメリットしか感じた事がありませんでした。
しかし、先日インタビューした木村辰巳さんにこんな事を言われました。
「病気を持っている事は悪い事だけじゃない。自分の体を大事にする事ができるし、病気の人の気持ちが分かるようになる。」
この言葉は木村さんから僕に対しての励ましでも何でもなく事実なんです。
結局、健康でいる事の幸せは何か病気を持っている人にしか完全には理解できない訳で、それを身を持って感じる事ができました。

木村さんの記事はこちら

最後まで読んでいただきありがとうございました

今回、潰瘍性大腸炎現役患者としてこのブログを書きましたが、細かい部分で間違っている所や、不快に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
何かご指摘がありましたら、オンクリのSNSアカウントにてご連絡ください。

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